中国東部の江蘇省蘇州で子どもを連れた日本人の母親が何者かに石のようなもので殴られてけがをしたことがわかりました。蘇州では、去年も日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われる事件が起きています。
上海にある日本総領事館などによりますと、江蘇省蘇州の地下鉄の構内で、31日午後、日本人の母親が子どもを連れて歩いていたところ、母親が何者かに石のようなもので殴られました。
母親はけがをして病院で手当てを受けましたが、命に別状はなく、その後、自宅に戻ったということです。
現地の警察当局から1日、日本側に容疑者を拘束したと連絡があり、関係筋によりますと容疑者は男だということです。
また、中国外務省はNHKの取材に対して容疑者について「中国の関係部門が法に基づいて処理を進める」とコメントしました。
容疑者の拘束を受けて、日本政府は中国政府に対して厳正な処罰や、類似した事件の再発防止、それに、中国に住む日本人の安全確保を強く求めていくとしています。
蘇州では、去年6月、日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われ、日本人の親子がけがをし、バスの案内係の中国人女性が死亡する事件が起きました。
今回の事件を受けて、日本政府は中国政府に対して容疑者の速やかな確保や類似した事件の再発防止、それに、中国に住む日本人の安全を確保するよう申し入れました。
また、中国はことしを「抗日戦争勝利80年」と位置づけ、関連する映画が上映されているほか、9月には軍事パレードが行われる予定で、北京にある日本大使館などは反日感情の高まりに注意するよう呼びかけています。
●中国日本商会「極めて遺憾」
中国東部の江蘇省蘇州で発生した事件を受け、中国に進出する日本企業でつくる「中国日本商会」は「極めて深刻に受け止めており、このような事案が再び発生したことは極めて遺憾だ」とするコメントを発表しました。
そのうえで「社員とその家族の安全確保は中国でビジネスを行う上での基本だ」とし「日本政府・大使館・領事館、および中国中央政府・地方政府に対して、邦人の安心・安全確保を強く求めるとともに事件の背景を含めた詳細情報を速やかに明らかにすることを求めていく」としています。
●中国で日本人が被害にあう殺傷事件続く
中国では2024年から日本人が被害にあう殺傷事件が続いていて、現地の日本人社会では安全に対する不安が根強くあります。
2024年6月には、今回の事件が起きた江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われ、日本人の親子がけがをして、バスの案内係の中国人女性が死亡しました。
その3か月後の2024年9月には、南部の深センで日本人学校に通う当時10歳の男子児童が、保護者と一緒に登校中に男に刃物で襲われて死亡しました。
2つの事件の裁判では、いずれも被告に死刑が言い渡され刑が執行されましたが、日本人を狙ったのかどうかなど、事件の動機や背景は今も明らかにされていません。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250801/k1001488236...
返信する