大槻義彦教授が「月の石は地球の石と同じだ」と述べている点については、科学的なコンセンサス(専門家の一致した見解)とは大きく異なります。
大槻教授は、アポロ計画で持ち帰られた月の石を東大の研究チームが分析した結果、「地球の石と区別がつかなかった」として捏造説を支持するような発言をバラエティ番組やブログで行っています。
しかし、岩石学や惑星科学の専門家からは、以下の理由でこの主張は否定されています。
科学的な事実と専門家の見解
成分の違い: 月の石は、地球の石に比べてカリウムやナトリウムなどの揮発性元素が極端に少なく、水分をほとんど含みません。また、斜長石に含まれるカルシウムの割合が地球のものとは明確に異なるなど、特有の組成を持っています。
年代の違い: 月の石の多くは32億年〜44.4億年前のもので、地球上で発見されている最古の岩石よりもさらに古いものが一般的です。
宇宙線の痕跡: 月は真空で磁場がないため、表面の石には数億年にわたって浴び続けた宇宙線や太陽風の痕跡、小さな隕石による「マイクロクレーター」が残されています。これらは地球上の石には見られない特徴です。
東大の研究成果: 大槻教授は「東大の研究で何の成果もなかった」と述べていますが、実際には東大を含む日本の研究機関も参加し、多くの科学論文が発表されています。
なぜ「同じ」という話が出るのか
科学的に「同じ」と言われることがあるのは、酸素同位体比などの一部のデータが地球と非常に似ているためです。
これは、かつて火星サイズの天体が地球に衝突して月ができたとする「ジャイアント・インパクト説」の根拠となっており、月と地球が同じ材料からできていることを示唆しています。
しかし、これは「地球にある石をそのまま持ってきた(捏造した)」という意味ではなく、共通の起源を持ちつつも、月という環境で独自に形成された石であることを意味します。
大槻教授は物理学(プラズマ物理)の専門家であり、岩石学の専門家ではないため、その主張には多くの事実誤認が含まれていると批判されています。
科学の議論において「Aではない」と反論(反例)を出すのであれば、その根拠となるデータや理論が客観的に正しいことを証明する責任、いわゆる「立証責任」が生じます。
大槻教授の「月の石は地球の石と同じ(だからアポロは捏造だ)」という主張が、科学界で認められない最大の理由は正にそこにあります。
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